真面目で誠実そう。

優しくて頼りになる先生。

そう言われるたび、安心した。

よかった、誰も気付いていない。

秘密。

絶対に知られたくない、秘密。

誰も気付かないで。

真面目で誠実で優しくて頼りになる自分でいるから。

お願い。

誰も気付かないで。



炎 0



うみのイルカには、ある秘密があった。

誰にも知られたくない、自分でも思い出したくない過去の秘密。もちろん今まで生きてきた中で、親友と呼べる友にも、親代わりで甘えさせてくれていた三代目火影にも打ち明けた事は無い。誰にも言えない、死ぬまで隠し通そうと決心した過去の出来事。

必死になって隠してきたかいがあってか、今のところ誰にもそのことはばれていない。

周りの自分への評価は、なかなか良いと思える。

真面目すぎて面白みにかけるとまで言われるくらいだし、アカデミーの生徒からも慕われていると自負している。元来の性格も手伝っていると思うが、それでもイルカはそう思われるように努力した。

そう思われる人物が、こんな風に汚れているなんて思われないだろうと思ったからこそ、努力した。

長年の努力の結果手に入った「うみのイルカ」をイルカは大事にしていた。

誰にも壊させやしない。

誰にも気付きさせやしない。

オレが汚れている事なんて。

薄汚いなんて。

決して誰にも。

例え、どんな犠牲を強いたって――。

イルカは毎朝起きるとその事を誓い、眠る前に秘密が露見しなかったことに感謝する。

お願い。

誰も気付かないで――。




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