炎 3






中忍試験合格の日。

気持ちとは裏腹に、空は曇っていた。合格が分かったその時に、直ぐに両親へ報告に行きたがったが、親代わりである三代目火影や友人が祝いをしてくれるというので、イルカは好意に甘え彼らと過ごした。祝いの会が終わる頃にはすでに夜も耽り、泣きそうだった空がとうとう降り出した。

別に大雨な訳でもない。

イルカはそう思い、傘を片手に慰霊碑へと向かった。

夜中で雨が降っているということもあり、慰霊碑への道には誰もいない。通常ならば少し不気味だと思える道中も、今のイルカの心境ならばそんなことはなかった。鼻歌交じりで軽快に歩いていく。

ぱしゃぱしゃと水溜りを子供のように跳ねさせ、イルカは逸る気持ちのまま歩いていく。今は亡き両親も、きっと空の向こうで喜んでくれている。そう思うと、自然に笑みが零れた。

「オヤジ!母さん!!」

誰もいないと分かっているから、大きな声で慰霊碑へと走っていく。慰霊碑前に立って、傘を持ったまま大きく両腕を広げた。

「オレ、中忍試験受かったよ!これからもっと難しい任務を受けて、すっげぇ忍者になって、オヤジと母さんに追いついてみせるから!!」

未だはっきりと思い起こせる父と母の笑顔。イルカは言いながら思いだし、目を潤ませた。両親を亡くしてから月日は流れ、火影や仲間と過ごすうちに自分は一人ではないんだと分かったのに、それでも未だに涙する時がある。

「火影のじっちゃんもね――・・・うわっ!?」

そこまで言いかけたとき、イルカは急に何かに押され、うつ伏せになって倒れこんでしまった。ばしゃんと水音を立てて、慰霊碑の石段に突っ伏す。何事かと思い、携帯しているクナイを抜き無理な体勢のまま振り向いた。

傘が風で飛ばされた。

「――っつ!?」

自分の肩を足で押さえつけている獣が見下ろしている。

いや、違う。

動物の面・・・?

――暗部!!

自分を見下ろしている人物を認識し、イルカは驚愕した。狐の面。独特の忍装束。その装束は雨でも流せ切れなかったのだろうか。べっとりと血がこびり付いている。雫が赤い。

滅多に会うことが出来ない暗部を目の前にして、体が緊張で震える。小雨だった雨は本降りになった。視界が悪い雨の中、白い動物の面だけがぽっかり浮かんで見えて、とても不気味だ。イルカはゾッと寒気を感じる。

気配は一切感じなかった。いつの間にか踏みつけられていたと言っていい。実力差をありありと見せ付けられて、イルカはぐっと唇を噛み締める。暗部の男は自分を見下ろしているだけで、何も言ってこない。

なんでこんなことをするのか。

理不尽さにイルカは怒りを覚えたが、そんなこと言えるはずがない。忍社会の上下関係は絶対。特にイルカは中忍になったばかりの身分。逆らえるわけがない。

「・・・暗部の方、ですよね?何か御用でしょうか。」

踏みつけられたまま、イルカは出来るだけ丁寧に尋ねた。しかし目だけは嘘を吐けないらしく、ぎろりと睨んでいる。そんなイルカの様子に暗部は小さく笑ったようだった。

「えっ、ちょ・・・!!」

ゆらりと暗部が動いたと思ったら、下着ごとズボンを剥ぎ取られた。露わになった肌に雨の冷たい雫が当たったが、イルカは驚きでそんなことも感じない。伸し掛かった暗部に右手で頭を押さえつけられ、石材に張った雨水が唇に当たった。

何が何だか分からない。

イルカは必死に上体を起こそうと、我武者羅に抵抗する。暗部の男はそれを煩わしいと思ったのだろう。装束から片手で器用に丸薬を取り出す。逃れようと懸命なイルカはそんな暗部には気付かなかった。

「痛っ!」

ぐっと、尻に指を突きつけられた。何も施していなかったイルカの最奥はギチギチに縮こまっていたが、暗部は無理矢理指を挿入する。信じられない出来事にイルカは痛みを感じたのは一瞬だった。奥に異物を感じる。それは先ほど暗部が取り出した丸薬で、指を引き抜いたがイルカの体内に残っている。体内の温度で丸薬は溶け出し、効能を現す。

「なっ・・・に・・・?」

身体が上手く動かない。

痺れる感じではない。ただどうにも体が重くて動かし辛い。イルカは薬を盛られたと気付いたが、もう遅かった。その様子に気付いた暗部は頭部から手を離し、動けないイルカの尻に今度はぬめる液体を垂らす。粘り気のあるその液体は雨に流れる事もなく、イルカの蕾に留まり、内股も濡らしていく。混乱しているイルカを余所に、暗部は仰向けにした彼の全身に満遍なく液体を塗りたくった。

目の前には慰霊碑。

雨の降る死を悼む場所で裸に剥かれる自分。

イルカは唯一自由に動ける口で「止めて。」と懇願した。

恐怖で引き攣った顔でそう呟けば、暗部は面の下で笑った。声は出ていない。しかしハッキリと笑ったのだ。

まるで獲物を弄ぶように笑う。

「んっ・んん・・・!」

絶望を感じていたイルカの身体が勝手に震え出した。ぴくぴくと痙攣するように震え出す。息が荒くなり、身体全体が熱く燻り出す。

催淫剤!?

塗られた液体を思い返し、イルカはハッとなる。暗部はイルカの変化を感じ取り、ゆっくりと動き出した。言い表せない熱と恐怖に震えているイルカの両足を持ち上げ、肩に担ぎ上げる。ぐっと腹に膝が付くくらい身体が折り曲げられ、目の前に狐の顔が迫る。ポタポタと落ちてくるのは血が溶け出した赤い雫。

赤い雨。

「ひっ・いぃ・・・!!」

容赦なく。

熱い塊が己が内を引き裂いていく。

ぶちぶちと肉が避ける音をイルカは確かに聞いた。薬で感覚が麻痺しているとはいえ、身体は叫びを上げている。効能をも上回る圧迫感と激痛に、イルカは声無き悲鳴を上げた。

「いや、だぁ・・・っ!」

狐の暗部はくつくつと面の向こうで笑っていた。全部埋まりきったのか、一度動きを止めてイルカの顔を覗き込む。視界用の穴からじっとこちらを見ているが、涙で濡れているイルカの目では狐の顔は見えない。

「いたぁ・・・っいたい・っつ!」

ギチギチと狂気を銜え込んでいるイルカの蕾は裂けてしまって、熱い血を流している。狐はその血を掬い上げ、指先を面の下へ潜らせ嘗める。

「ぁ・つ・・・あっ・・・。」

その狂った所業に恐怖に陥ったイルカ。丸薬のせいではなく身体が動かなくなっていく。抵抗は最早無い。

狐はそれから血を掬った指を蕾へと再び持っていき、今度は自分から洩れ出た精液を掬った。そしてその青臭い体液をイルカの口へと押し込む。

「んぷ・っ・んぁ・・・っ。」

舌に独特の味を感じ、イルカは涙を流した。嘗めろと声に出さず命令され、逆らえずに舌で指をしゃぶる。身体が裂ける痛みと恐怖にイルカはもう、何も考えられなくなっていく。

「う・わっぁあ・・・!」

イルカが指をしゃぶったのを合図に、暗部の狐が揺すり始めた。ぐちゃぐちゃと血と精液が混じった音が雨の慰霊地に木霊する。体温が雨で失われることはなく、逆に熱く昂っていく。

「んぅっ・ひっ・ひぅ・・・っ!」

引き攣る喉からは、喘ぎとも言えない悲鳴ばかりが出て行く。イルカは早く終わって欲しいと願った。催淫剤のせいか、痛みは引き始めている。しかし逆に味わった事のない感覚がじわりと湧き上がってくるのだ。無理矢理犯されているはずなのに、そんな感覚を味わうのは、屈辱でしかない。強制的な快楽に心まで犯される前に、終わってしまえと強く願った。

「んっんっ・・・ひゃっ・あ!」

ガクガクと揺さぶる律動が速くなり、狐の動きが荒くなっていく。何にも頼る事の出来ないイルカの指は、石に強く食い込まれ血を流している。

早く終わってくれ!早く・・・!!

「っつ・・・!」

「やっ・あぁ・・・っ!」

願が叶ったのか、狐が息を止める。最奥で熱い飛翔が注がれ、イルカの目が見開かれる。灼熱が激流となって体内で暴れている。イルカは強姦されたことを認識させられ、ただ涙を流す。

「うっ・ちく・しょ・・・っ!」

達した狐の暗部は、悔しさで泣くイルカを見下ろしている。繋がったままの体勢を放すことなくそのままで。イルカはもう階級など忘れ、身体が動かせないならせめて口でと大声で怒鳴った。

「終わったんならさっさとどけ!このクソ暗部野郎!!」

肩で息をし、泥で汚れたままの顔で睨みつけてやる。これで終わったんだとイルカは思った。まだたっぷりと残っている恐怖心を目の前の男に見せたくなかった。精一杯の虚勢を張ってみせた。

「えっ・・・?」

しかし相手はどくどころか、再び伸し掛かってきた。血の雨はまだ止まず、イルカの顔に降り注ぐ。赤い線がいくつも頬を流れ、面の固さが耳をかすった。

くつり。

狐が笑う。

やはり男は愉快そうに笑っている。

イルカは再び恐怖に陥った。

「な・んで・・・。」

狐は己自身をイルカに埋めたまま、彼の胸を撫で始めた。残っている催淫剤の助けを借りて、ぬるぬるとリズム良くイルカの胸を愛撫する。

愛撫。

そう愛撫だ。イルカは燻っていた熱を無理矢理引きずり出され始める。荒々しい自分本位の行動でなく、何を思っているのか暗部はイルカを高め始める。

「んっ。や・やだ・・・っ。」

既に立ち上がりかけていた胸の突起をきゅうと摘み上げ、捏ねる。ぬるりとした液体が熱で溶け、さらに淫靡な音を立て始める。まるでこの男がイルカの胸に精液でもかけたように、胸からにちゅにちゅとしたいやらしい音が聞えた。

熱い。

イルカは昇ってきた快感の炎に焼かれ始める。薬のせいだと考える思考も焦げ、熱い吐息が唇から洩れた。身体全体が燃えているようだ。

「あっあっ・やっ・・・っ!」

意思とは反対に勃ち上がっているイルカ自身が、ふるふると揺れている。身体を半分に折り曲げられているからその様がハッキリと見えて、イルカは悔しさで涙を流した。狐は彼の身体の力が抜け始めているのをいいことに、再び腰を揺らし始めた。

「ハッ・アッ・ァア・・・!」

ちゅくちゅくと緩く奥を探るように腰を進められ、同時に自身を扱かれる。催淫剤とは違うぬめりが引っ切り無しにイルカ自身から溢れ出て、狐の手を汚していった。

「やぁ・やぁあ・・・。」

探り当てられた弱い部分をグリグリと見知らぬ男の欲望で衝かれ、イルカは喘ぎ始めた。声が止まらない。雨で体温が奪われるどころか高まっていき、極みに上りたいとさえ思ってしまう。

「やっやめ・てっ・・・!擦らないで・・・っ!」

身体の奥と勃ち上がっている快楽点を嬲られて、イルカは泣きながら喘いだ。羞恥と恐怖と快楽と苦痛。相反する感情が混ぜこぜになって身体中で渦巻いている。

「ふっ・うぅ・・・っも、やぁ・・・っ!」

子供のように泣きじゃくりながら、それでもこの熱から解放して欲しいと自らも暗部の男を引き寄せた。

「あっ・・・あっ・・・あぁっつ!!」

ぐちゃりと今までに無いほど奥の奥を刺され、イルカは悲鳴を上げて達した。ビクビクと痙攣を何度も起こし、自らの性で顔を濡らす。イルカが達した締め付けで次いで狐も彼の内へと射精した。

「は・ひっ・・・ひぅう・・・。」

ひくんひくんとイルカは余韻に打ち震えている。暗部は絶望を味わい涙しているイルカを覗き見ながら、ゆっくりと己を引き抜いた。こぽりと音を立てて、収まりきらなかった精液がイルカの尻から流れる。血の赤と精液の白が混ざり、まるで生肉のような色をしている。

「ふふ。」

狐は初めて声を出して笑った。

しかしその声はイルカには届かない。

イルカは眉根を寄せて、ただパクパクと口を開閉している。まるで酸素不足の金魚のように。思いが声にならないのだろう。

狐はイルカの血と己の欲が混ざった体液をイルカの顔に塗り込めた。まるで所有印を残しているようだ。イルカは抵抗すら思いつかない。ただ流れを受け入れるしかないイルカを見て、満足したのだろうか。

狐の暗部は闇夜に溶けるようにするりと姿を消した。

現れたときと同じように。まるで最初から存在しなかったように。ふつりと気配を途絶えさせる。

辺りは静寂に包まれる。

雨の音だけが辺りを支配していく。

「・・・オ・ヤジ・・・かあ・さん・・・。」

ざぁざぁと降り注ぐ雨の冷たさにようやく現実に戻ったイルカは、掠れた声で両親を呼ぶ。壊れた玩具のような動きで首を回し、横たわったまま慰霊碑を仰ぎ見る。

そこに刻まれている両親の名を見付け、イルカは吐き気を覚えた。

「みな・で・・・・!」

傷付いた身体を丸め、隠そうとする。

雨が血と生臭い性を流していくが、決して無くなりはしそうにない。

「見ないで・・・!!」

こんな汚れたオレを見ないで。

誰もオレを見ないで。

ぐにゃり。

心が曲がる音がした。




・・・イルカ先生の秘密です。
過去捏造しまくりです。
あ、秘密あっけなかったですか?(汗)
予想通りですか?あわわ!!
シンの考える事はこの程度ですので、
笑ってやってください。ヽ(◇|||)ノ
でも、男が強姦されてしまうなんて、
誰にも言えないことだと思うのですよ。
特にイルカ先生のような性格だと・・・。(@@)
どうでもいいけど、まだカカシさん出てきませんね。
次回!次回こそは出します!!
だってカカイルだもん!(死)

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