炎 6 |
「いっ・あぁあ・・・!!」 鈍い機械音と共に、腹の中で暴れる物体をリアルに感じる。イルカは目を見開いて、ローターの動きに声を上げる。一度上げてしまった声を止めるのはなかなか難しく、男に指摘されるまでイルカの声は流れっぱなしだった。 「ひっ・いたぁ・・・!痛い・ぃ・・・!!」 『すげぇな、イルカ。最初っからケツで感じまくりじゃねぇか。』 くっくと男は笑う。イルカにはその声すら、どこか遠くで聞えていた。 抑えられている欲望が、ローターの刺激でさらに膨れ上がる。丁度イルカの感じる場所に当たるらしく、強い快感が後から後からせり上がってくる。イルカは畳の上でビクビクと跳ねた。 「はずした・・・い!おねが、しま・す!」 涙でぐちゃぐちゃになっている視界には、風呂場に続くドアが見える。こんな場面を見られたら、どんな言い訳も通じない。電話を切ってローターを体内から追い出して、何にもなかった顔をしてカカシを迎えたい。イルカは涙を流した。 『ちゃんとお願いしな。そんなんじゃ許してやれねぇな。』 「ぁ・うぅ・・・!」 ブルブルと体内を犯すこの機械を止めて、欲情を塞き止めているベルトを解いて、吐き出したい。 それが出来たら、この気が狂いそうな熱からも、カカシにばれるかもしれないという恐怖からも解放される。 『イルカ。ちゃんとご主人様にお願いしろよ。』 「・・・ぅ・・・っ。」 ぐっと唇を噛み締めるが、声は洩れ続ける。男がイルカに言わせたい事は分かっているが、それを口にしたらもう後戻りできない気がする。 深みの深みまで嵌って、この男から逃れられなくなる。 気持ちの悪い快感に犯されて、それを求めるようになってしまう。 「ご・・・。」 でも。 それでも。 カカシにだけは、ばれたくなかった。 「ご、主人さまぁ・・・!お願いします・・・っつ!」 イルカは絶望した。 もう、後戻りは出来ない。 『よく言えました。じゃあご褒美だ。射精していいぜ、イルカ。』 許可が下りた瞬間、イルカは弾かれたように自身をキツク縛り上げていたベルトを解いた。もつれる手がもどかしく、その間もローターの刺激で自身は熱く昂っている。 「んっ・あっあ――!!」 かちゃんと小さな音をたててベルトが畳に落ちた。と同時にイルカ自身から勢いよく欲情が放たれる。何度にも放たれる白濁は、イルカの顔に降り注ぐくらいに勢いがよく、どれだけ解放を求めていたかよく分かる。イルカは放心した表情でそれを受け止めていた。 「ぁ・あぁ・・・やぁ・・・。」 『よかったかぁ?』 男の声に返事をする気力が無い。イルカはこくこくと力なく首を縦に振る。男はその様子が分かったように、鼻で笑った。 「かぁ・しせんせぇ・・・。」 『・・・ふーん。』 放心状態のイルカは自分が何を言ったのか分かっていない。男は新しい玩具を見つけたように、イルカの言葉に反応した。 『イルカ。携帯はいつも身に着けとけよ。どんな時でも出ろ。分かったな。』 「・・・は、い。」 『返事はちゃんとしな。』 「は・・・い。ご主人様・・・。」 ぷつり。 イルカの返事を確認し、通話は途切れた。イルカは涙を拭いながらのろのろと身を起こしたが、すぐに硬直した。 シャワーの音が止んでいる。 カカシ先生が戻ってくる! イルカは軋む身体を動かし、とにかく機械類を箱に閉まって押入れに突っ込んだ。そして顔に掛かっている体液を服で拭いそれを脱いでしまう。 「イルカ先生。」 「!!」 ぎくり。 時が止まったように感じた。 ギギギと軋む音でも鳴りそうな、散漫な動きでイルカは振り返る。 カカシは、いつから上がっていたのだろう。 「・・・カ、カカシ先生・・・。」 冷や汗が背中を伝っていくのを感じながら、イルカは振り返った。カカシは渡した浴衣を身に着け、頭を拭いていた。 ドクドクとイルカの動機は忙しない。 「お風呂ありがとうございました。いつもより、長風呂しちゃいましたよ。」 カカシはにっこりと笑った。いつもと変わらない態度だ。 ばれて、ない? 「す、すみません。ちょっと片付けしてて・・・な、なにも用意できなかったんで、す・・・。」 自分の体液が染み込んだ服をぎゅっと握る。上半身裸のイルカを見て、カカシは逆に済まなそうに眉を下げた。 「そんなの構いませんよ!それより待たせたみたいですね。イルカ先生も、早く風呂入ってください。」 イルカが服を脱いでいたのを勘違いしたのか、カカシはイルカを風呂へと促した。イルカはそんなカカシの優しさに、ぺたりとその場に座り込んでしまった。 ばれていない安心感と、辿り着いた暗闇に、足が震えて使い物にならない。 「イルカ先生!?どうしたんですか!?」 「す、すみません。だいぶ酔ってるみたいです・・・。」 ボロボロと涙が零れた。カカシはオロオロと戸惑っていたが、そっとイルカを抱き締めてきた。イルカは嗚咽を深くする。彼の優しさが恐くなったのだ。 「酔いが急に回ったのかな?大丈夫、オレがいますから。」 汗で汚れたイルカをカカシはきゅっと包んだ。イルカはカカシにそうされて、そうやく気付いた。 どうしてあんなに、ばれたくなかったのか。 何故カカシだと、嫌悪が湧かなかったのか。 「す、みません・・・カカシ先生。」 オレはカカシ先生が好きなんだ。 ばれたくない。ばれたくない。 イルカの思いはいっそう強くなる。 しかし次の日から携帯は鳴り続け、イルカの身体を蝕み続けていった。
うぅ。ちょっと短いですが、 |
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