教育に体力は必須! だからオレは疲れ知らずの働き者だぜ! ・・・。 な〜んて、笑っていたのが遠い昔のようだ。 |
「カカシさん!!カカシさん、起きてください!!」 「んー・・・起きた、起きまぁしたぁ・・・。」 「どこがだ!このバカカシ!!」 上半身剥き出しにしたまま、うつ伏せになって布団にしがみ付く男をイルカは必死になって剥がそうとする。 ぐいぐいと肩を引っ張って起き上がらせようとしても、布団を引っぺがそうとしても無駄。未だ眠りの世界に浸っている男は、ぴくりとも瞼を動かそうとしない。 はたけカカシ。 昨日、散々自分を弄んだ男。 なのになんでオレはコイツの家で、コイツの世話をしているのだろうか。 昨夜の事を思い出したくなくて、イルカは原因を考えないようにした。とにかく起きてもらわなければ困るのだ。自分は今日も授業があるのだから。 「お・き・ろぉ――!!」 腹の底から叫んで、渾身の力で男を布団から引き剥がす。ぼとりとベッドから床へと落ちたカカシは、ようやく瞼を開けてぼんやりとイルカを見上げた。 「・・・おはよぉございます・・・イルカさん・・・。」 「ようやく起きましたね。」 ふんっと鼻息荒く踏ん反り返ってカカシを見下ろせば、彼は徐々に表情をハッキリさせ始めた。そして昨夜同様の意地の悪い笑みを浮かべる。 「なぁに、イルカセンセ。朝っぱらからオレを誘ってるんですか〜?」 はぁ?何言っているんだこの人。 ニヤニヤと笑い続けるカカシ。イルカは不審に思いながら自分の格好を鏡で見た。そうして眉を寄せて頬を染める。原因が自分の姿ということが分かったから。 「あっ、あんたのせいだろうが!」 フルフルと拳を握りながら叫んでは見るものの、カカシにはまったく通じていないようだ。イルカはいわゆる男心を擽るカッコをしていた。 サイズのあっていないシャツ一枚。 それだけを身に付けている。 「あんたがオレのスーツをじょきじょき切っちまうから、着るものがなかったんだよ!」 「別にクローゼットの服、何着たって構わないのに。」 「人様の家を勝手に荒らせません!!」 変なところで律儀なうみのイルカ。こんな性格だからカカシのいいように弄ばれるのだろうか。 今朝。カカシより早く起きたイルカは、昨夜の行為のせいでダメにされたスーツの残骸を涙ながらにゴミ箱に捨て、さっさとこのマンションからオサラバしようとしていた。が、スーツをダメにされたと言う事は、着るものが何もないということだ。かろうじてワイシャツと下着は無事のようだが、それだけ身に付けて外に出られるわけがない。しかもシャツにも下着にも昨夜の名残がべったりと染み込んでいる。イルカは青い顔のままそれらもゴミ箱へと突っ込んだ。 そうなると、すっぽんぽんのままになってしまう。横で眠っている悪魔は真っ裸のまま眠っている。彼はそういうことが平気なのだろう。しかしイルカは違う。普段だってパジャマを着て眠るのだ。ハッキリ言って今の状況はいたたまれない。何か着る物をと探せば、備え付けのクローゼットが目に入った。シャツとズボンだけでも拝借できないかと思ったが、どうにも手が出せなかった。諸悪の根源とはいえ、一応ニンゲン。他人様の家を物色している気持ちになったからだ。そんな親に顔向けできなくなるような行為はしたくない。 きょろきょろとベッド下を見ると、カカシの着ていたものが落ちていた。シャツとジーンズ、下着。ジーンズと下着は・・・やはり名残が色濃い。となると、まだマシなのがシャツ。イルカは不本意ながらもカカシが着ていたシャツに袖を通したのだった。 早朝からそんな苦労を強いられたのに、目の前の男は「誘っている」なんぞと言ってニヤニヤしている。 ぶん殴ってやる。 イルカは震える拳をカカシの頭に振り下ろそうとした。しかしその気配に気付いたのか、カカシはサッと身を翻しイルカを自分に引き寄せた。あっと言う間に体勢を崩され、イルカは床に胡坐をかいていたカカシに跨る格好で座らされる。 「何するんです!」 「朝から元気いいね〜。」 「んっ!?」 くすくすと笑っていると思ったら、カカシは慣れた仕種でイルカの唇を己のそれで塞いだ。驚きで目を開けたままのイルカを見詰めながら口付けし、手本を見せるようにゆっくりと瞼を下ろす。ちろりと下唇を嘗められて、身体を震わせながらイルカはカカシと同じように目を閉じてしまった。 「ん・ゃっ・!」 唾液を啜られながら激しく舌を絡ませられる。イルカは快感で痺れていく身体を何とか動かして、カカシの胸を押しやった。が、力が弱くなっており抵抗には程遠い。 「ね・・・。おっぱい嘗めていい?」 「ぅ・んぁ・・・あっ・・・!」 囁きを耳の中に入れられて、イルカはぶるりと震える。いつの間にかシャツはボタンを外されており、胸が露わになっていた。揉むように両手で撫でられ、胸の突起を捏ねられる。昨夜教えられた快感に、イルカは従順に感じ始める。 「あっ・ぁ・あ・・・。」 「ね?嘗め嘗めしていいでしょ?嘗め嘗めして、噛み噛みもしてあげるよ?」 言葉で嬲られ、イルカの体温が上昇していく。嫌だと頭を振ってみても、カカシはそんなことに気付いてはくれない。 「ダ・ダメです・・・ッ!」 「嘘だね。ココは早く嘗めてって言ってるよ?」 「はっ・あっ!」 キュッと胸の飾りを摘まれて、イルカは大きく喘いだ。いよいよ思考が麻痺し始め、熱を孕んだ瞳が潤みだす。 な・流される――! ぐるぐる混乱する思考の中で、イルカは必死に逃げる手を考えた。だってこのままじゃ、ぐずぐずと流されてカカシのいいように扱われてしまうのだ。 チャッチャラッチャーチャーチャチャ――♪ 「!!」 「・・・ルパン?」 突然流れ出した音楽に、流石のカカシも眉を顰めた。発信源は携帯。昨夜無造作に放られたイルカの携帯から軽やかな音楽が流れている。イルカはこの期を逃さないとばかりに肌蹴たシャツを寄せ、釦をかけた。 「オレの携帯の目覚ましです!」 「水戸黄門の次はルパン三世?」 「不二子ちゃんは世界一ですから!!」 あぁ、一気に崩された。 イルカの一言で、何とか築き上げようとしていた官能の塔を崩されてしまった。カカシは重い溜息を吐き、それでも何とか再構築しようと試みる。 「いい加減にしろ!!遅刻すんでしょうがぁ!!」 「ぐぇ!」 やはり無理だったようだ。イルカの鉄拳に、カカシ作「快感の塔」は跡形も無く潰されてしまった。
「ま、間に合った・・・!」 ぜぇぜぇ言いながら職員室のドアを開けたイルカは、よろけた足取りで自分の席へと着く。あの状況から出勤時間に間に合ったのは、本当に奇跡と言っていいのではないだろうか。何とかベッドに引きずり込もうとするカカシを押しのけ、外に出られる服をもぎ取り、イルカは出勤にこぎ付けたのだ。 「よぉ!イルカセンセ!珍しく遅いじゃねぇか。」 「アスマ先生・・・。おはようございます・・・。」 ぐったりと机に突っ伏しながら挨拶すると、アスマは苦笑した。朝からこんなに疲れた様子のイルカを見るのは初めてだろう。もちろんイルカも朝からこんな疲労は初めてだ。 「おいおい。朝からこんなに疲れてたんじゃ、今日一日どうなるんだ?」 「あー・・・今日は授業が少ないから、何とかなると思います。」 「んじゃ、空いてる時間は資料室とかでサボってればいいだろ。」 サラッと言われてイルカは乾いた笑いを返した。そんな堂々とサボれと言われて、はいそうですねとは返事できないだろうに。 でも、本当にどうしようかな・・・。こんなゆとりある日も珍しいんだよな。 甘い誘惑に誘われて、イルカは迷い出す。そんなイルカの様子にアスマはこっそりと耳打ちした。 「サボれる時はサボっとけって。誰にも言わねぇよ。」 「・・・ありがとうございます。」 にやん。なんて悪戯めいた笑みをされ、イルカも素直に従った。 だって本当に疲労困憊。朝からあんな格闘冗談じゃないんだから。 しかしやはり人間悪い事はするもんじゃない。 サボることなんて考えないで、ちゃんと仕事していればよかった。 誰を責めていいのやら。 サボりを提案したアスマ先生? いや、違う。 その言葉に乗ってサボりを決定した自分? うーん、違うと思う。 朝からこんなに疲れさせたカカシ? 正解! この変態ホスト!!全部てめぇのせいだ!!
僕フィー第二部もよろしくお願いします。m(_)m |
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