人間誰でもそうだと思うけれど、嫌な事こそ目に付くものだ。

例えば、嫌いな人や動物や虫や。

例えば、嫌な出来事や予感なんかも。

それの延長が自分の身に降りかかるかどうかなんて、運次第。

対処できるかどうかは、力量次第。

これが上忍と中忍の差なんでーすよ。何て言ったなら。

きっと、絶対、殴られちゃうねぇ。







見たくないモノほどよく見える。




前編






朝のニュースの天気予報で言っていた通り、本日は雲ひとつ無い晴天だ。

春の日差しは暖かく、昼寝には持って来いだろう。桜は寂しい事だが散り始め、青々しい葉を身につけ始めている。

「いー天気ですねぇ〜。」

「そうですね。こういう日は、春眠暁を覚えずって言葉が身に染みますよね。」

「充分身に染みてます。」

「昼寝の邪魔してすみません。」

苦笑混じりにそう言われ、カカシは照れ隠しに頭をかいてみた。言った本人は気にした風でもなく、世間話を続けながら本棚に並べられている書類ファイルを取り出していた。

そういや、今日の占い最高だった。

ちらりとカカシは彼を見て、口布の中で微笑んだ。自分の機嫌を最高潮まで引き上げてくれる人物なんて、彼だけだ。

うみのイルカ。

現部下達の元担任教師。何かと気になる存在だ。それは紛れも無く友情以上の感情を含んでいる。カカシはもう一度頭をかいた。

もしかしてと資料探しをしているイルカにフと気付き、カカシは枕代わりにしていたファイルをイルカに差し出した。

「すみません。もしかして探してるファイル、これだったりしませんか?」

「え?あ、あった!」

ファイルの中身を確認し、イルカは嬉しそうに声を上げた。そういえば彼は結構な時間ここにいた。

「枕代わりにしてました。」

「よくここで昼寝してるんですか?誰もいないと思ってましたから、入った時カカシ先生が居てビックリしました。」

オレもです。とカカシは答え、その時の驚きと嬉しさを思い出した。暖かく心地良い日差しに逆らえず、カカシはアカデミーの書庫に昼寝をしに入ったのだ。この書庫は、人が滅多に来ない。カカシはそのことを知っていたから、やって来た。窓から日光が降り注いでいる場所にファイルを二つ積み上げて枕代わりにし、うつらうつらとまどろんでいるところにイルカが入ってきたのだ。

『あれ?カカシ先生?』

頼まれたのだろう。資料のメモを持ちながら入ってきたイルカは、カカシの姿を見て驚いた後、笑ってくれた。自分がいて嬉しかったのかと、カカシは胸を高鳴らせたのだ。

「たまに来ますねぇ。ここって滅多に人が来ないじゃないですか、サボるのには最適なんですよ。」

「へ〜。じゃあオレもサボる時来ようかな。」

「いいですね。じゃあ、ココで会った時はお互いサボっていた事は内緒で。」

まるで子供の秘密共用だとカカシは思ったが、存外それが嬉しくて笑みを隠せずにはいられなかった。イルカも悪戯っ子のように笑っている。

「イルカ先生、今夜花見でも行きませんか?オレまだ行ってないんですよ。」

「あ、じゃあぜひ。もう桜も散り始めてますから、今夜で最後かもしれませんね。」

色好い返事をもらえて、カカシはますます機嫌を上昇させる。資料をそろえたイルカは、ファイルを持って出て行こうとしたのでカカシも一緒に出ようとした。するとバタンとドアが閉まる音が聞えてきた。資料は部屋の奥にあったため、出入り口からは離れている。だからドアの音は小さくしか聞えなかったが、しかし間違いなく聞えてきた。

ということは、誰かが来たのだろう。

この部屋にこう立て続けに人が来るなんて珍しいと思ったが、気にする事でもない。カカシはそのまま出ようとした。当然イルカもそうすると思ったのだが、不思議な事に彼は立ち止まったままだ。

「イルカ先生?」

ほんの少し前にいたイルカは、まるで蝋人形のように固まっている。カカシは首を傾げ、立ち並ぶ本棚からイルカが見ている方へ顔を覗かせた。

「・・・ありゃ。」

こりゃ固まるでしょ。

覗いて見えたのは、熱烈に口付けを交わしている男女の姿だった。アカデミー職員の二人だろう。ということは、イルカの知り合いということだ。それも手伝ってか、イルカは固まったまま動けないでいる。カップルは出入り口のドアの前から動く事もせず、まだ口付けあっている。

困ったねぇ。

カカシは小さく溜息を吐き、気配を消してイルカの肩を叩いた。びくりと彼は飛び跳ね、振り向く。その顔は真っ赤に染まっていて、口はへの字に曲がっていた。

「カ、カカシ・・・!!」

「しっ。ばれちゃいますよ?」

ここに自分たちが居る事が気付かれたら、今後お互いずっと気まずくなるだろう。カカシはそんなこと気にしないが、イルカは一生引き摺りそうだ。カカシは戸惑っているイルカの口を手で覆い、引き摺るように元の位置まで戻った。

「ど、どうしたら・・・!」

「・・・。」

おろおろと狼狽するイルカ。親に縋る子供のようにカカシのベストを掴んだまま、部屋の隅で縮こまった。窓から出ることも忍の自分たちなら出来るだろうと思ったが、敢えてカカシは口にしなかった。この状況を手放したくなかったからだ。

ハッキリ言って、かなり美味しい状況である。

小動物のようにぴるぴる震えているイルカは可愛くて、カカシは先程から何度も生唾を飲み込んでいた。寄り添っている彼は意外と軽く、緊張と驚きで潤んだ瞳が自分を見詰めるたびに身体が昂ってくる。

ヤバイ・・・!

早く離れた方がいいのに、できねぇ!!

イルカには自分の気持ちの十分の一だって伝えていない。それなのに手を出していいはずがない。カカシにだってそれぐらいの常識はあるのだ。しかし理性が危険信号を点滅しまくっている。次に何か切っ掛けがあったら、本性を剥き出してしまいそうなのだ。

「ぁあ・・・だめぇ・・・。」

「――!!」

離れた場所から、しかししっかりと女の喘ぎが届いた。イルカ先生は反射的に俯いて、オレのベストに顔を埋める。しかし覗く項や耳は真っ赤に染まっていて、そんな行動は何の抑止力にもなっていないことが分かる。

・・・あんまりセックスしたことないんだろうな。

この反応はそうなんだろうと核心を持った。これがアスマだったなら話の肴として覗いていただろう。自分もカラカイ半分で覗いているか、堂々とドアを開けてここから出て行っていただろう。

しかしイルカ先生は戸惑いと羞恥を隠しきれないでいる。

そしてそれがどんなに自分を煽っているかも分からないでいる。

女の喘ぎは止まらない。聞えるたびに先生の肩が跳ね、オレのベストを掴む力が強くなる。そして無意識なのか、もじりと腰が揺れている。

それを見るたびに押さえていた本性が、鎖をぶちんと千切って暴走しようと暴れていた。

「・・・ぁ・。」

それは本当に小さい声だった。

これだけ密着しているから聞えてきた、甘い吐息。

熱を持て余し、どうすることもできなかったイルカ先生から零れた情欲の声。

その声で、鎖がブチリと音を立てた。

「・・・イルカ先生。すみません、先に謝っておきます。」

「は?」

突然のオレの発言に、イルカ先生は訳が分からず困っている。当たり前だろう。でも先生。オレ、結構我慢できた方だと思うんです。

惚れた相手のそんな姿見せられて、我慢しろって方が無理だろう。

「理性の鎖を引き千切っちゃいました。」

ひそりとイルカ先生の耳の中にそう呟く。彼は事態を把握できていないらしく驚いたままオレを見ていたが、自分の脚の間にオレの膝が割り込んできて流石に異変に気付き出した。

「カ、カカシ先生・・・!?」

「ねぇ、あの女の声で興奮したんですか?」

ぐいぐいと割り込ませた膝を押し戻そうとしているが、オレはそれを力で捩じ伏せわざと膝頭を彼の中心へと押し当てる。自分の変化を悟られたイルカ先生はますます顔を赤く染めた。

「ココ、すげぇことになってますよね?」

「やめてください・・・!」

「声、大きいですよ。」

指摘され、イルカ先生は口を両手で押さえた。まぁ、あちらも自分たちの世界に浸っているのだから、そうそう気付きはしないと思う。しかしイルカ先生の抵抗を奪う材料にはなるのだから、しっかりと使わせてもらおう。

両手を使って口を押さえたのだから、もちろんイルカ先生はオレの脚を止める事は出来なくなった。オレはにやりと笑い、さらに身体を密着させる。ぐっとイルカ先生を壁に押し当て、隙間がないくらいにぴったりとくっ付く。先生はわたわたと慌てていて、その表情が子供のようで可愛い。そういうあどけない表情も好きだけれど、先程のように艶めいたカオを今は見たい。オレはぱくんと彼の耳朶を食べてしまう。

「んっ!」

「あんな女の声より、イルカ先生の方がソソルよ。」

「何言って・・・!」

「オレ、もっと聞きたくなっちゃいました。」

尖らせた舌を耳の中へと突っ込んで、べろりと嘗めてやる。イルカ先生は驚いた猫のように跳ね、ぎゅっとオレの肩口を掴んでくる。もちろんそうしながら中心への刺激も忘れない。空いている手で布地の上から摩り、彼の形をなぞった。

「やっ・カカシ・・・せんせ・・・っ!」

「すごい。どんどん大きくなってく・・・。」

オレの言葉に羞恥を感じたイルカ先生は、泣きそうに眉を八の字にしイヤイヤと頭を振る。その姿は男の征服欲を本当に掻き立てる。戦場でこんな姿を見たら、速攻で上忍や暗部の慰めになっていただろう。アカデミー教師でよかったなんてくだらないことまで考え、オレは彼のズボンに手をかける。

「ちょ・何・・・!?」

「窮屈でしょ?脱ぎましょうね。」

こんな所、ましてや同僚が居る場所で出来るわけが無いとイルカ先生は強く抵抗を始めた。抵抗を押さえるのもまた楽しいが、今は彼を愛撫する事に集中したい。そう思ったオレは素早く自分の額宛を外し、それでイルカ先生の両手首を縛り上げた。後ろ手で縛り、抵抗力を奪う。

「・・・あぁ、写輪眼です。」

そんなことをしたのに、イルカ先生は暴れたりしなかった。どうしたのかと思えば、呆けた顔でオレの顔をじっと見ている。すでに口布も取っていたから素顔をさらしている。彼の視線は左眼に注がれていた。

紅く燃える罪の瞳を彼に見られている。

「気味が悪いですか?」

言うと彼はハッとし、ぶんぶんと頭を振って否定してくれた。世辞だろうが嬉しくて、オレは口元を緩ませる。イルカ先生は困ったように俯いた。

「気味が悪いだなんて・・・そんなことカカシ先生に思いません。」

「・・・イルカ先生・・・。」

じんっと暖かいものが自分の内から溢れてくる。彼の優しさが伝わってきて、オレは打ち震えた。

さて、この感動のまま優しく告白をして事を終えれば彼にとって一番イイのだろうが、まぁ何ですか。

イルカ先生には申し訳ないけれど、オレの性欲は止まらないのです。

「ぎゃっ!」

「そんな可愛いこと言っちゃって〜。益々ヤル気が出てきましたよ〜!」

ずるんとズボンを勢いよく下ろし、足首まで下げてしまう。下着も下ろしてしまい、彼の下半身は剥き出しになった。先程までの感動はどこへやら。イルカ先生はひくっと表情を強張らせている。

オレはしゃがみ込み、イルカ先生自身に何の戸惑いもなく舌を這わせる。固まっていたイルカ先生はその刺激で正気に戻り、信じられないものを見るような目でオレの行動を見ている。

「カ、カカシ先生・・!」

止めようにも手は縛られている。オレは暴れ出さないうちにと、喉の奥まで彼を導いた。奥で扱き、震えている袋もちょっと強めに刺激する。最初は「止めろ」だの「嫌だ」だの言っていたイルカ先生の口から、次第に甘い言葉しか出てこなくなった。

「ぁ・あっ・うぅ・・・!」

ギュッと唇を噛み締めて、目を瞑って快感に耐えている彼は絶品だ。オレは高鳴る心臓を抑えきれない。本性がムクムクと頭を擡げ始める。

「あ、ひぃ・・・!」

「気持ちイイ?・・・先生のピクピクオレの口ン中で跳ねて可愛い。」

「やだぁ・・・!」

溢れ出る蜜を吸い上げる。ジュッいう啜られる音が下半身から響いてきては、羞恥を煽られる。イルカ先生はボロボロと涙を零し始めた。

だから、そういうのがオレを昂らせているんですって。

「先生、見て。オレがどこをどういう風にしゃぶっているか、ちゃんと見てください。」

「やっ・やです・・・!」

「見ろよ。じゃねぇと、ここも縛り上げるぞ。」

びくんと彼は恐怖で震え上がった。思ったより余裕のなかったオレは、つい強い口調で彼を責めてしまった。しまったと思ったけれど、言ってしまったものは仕方ない。イルカ先生は恐る恐るだが、オレの口淫を見始めた。

あぁ、ダメ。やっぱこの人可愛い。

「先生、ココ好きでしょう。先っぽくちゅくちゅしたら、お漏らしみたいに溢れてきましたよ?」

「ひっ・言わないでください・・・!」

親指で先端を強く愛撫し、竿の部分に念入りに舌を這わせる。感じやすい身体なのか、言葉通り彼自身から蜜が溢れ滴り落ちてくる。ちらりと表情を見てみると、虚ろな瞳から涙が零れ落ち、真っ赤になって荒い吐息を吐いていた。オレが言った言葉を素直に実行し、行為を見ているから視覚でも犯されてしまっているのだろう。彼はしきりに「弄らないで。」と訴えてきた。

「んっ・んん・・・も、我慢できな・・・っ!」

「イきそう?」

「離してください・・・!お願いですから・・・!」

「飲んであげる。」

にやりと意地悪く笑うと、イルカ先生は目を見開いた。こんなこともされたことないんだろうな。オレだって男のモン飲んだことなんてないけれど、イルカ先生のなら構わないって思ってる。っていうか、飲みたい。

「本当に・・・お願いですから、やめてください・・・。こ、声が・・・。」

オレの本気を悟ったからか、彼は懇願してきた。そういえば、忘れかけていたけれど向こうには人が居るんだった。耳を澄ませば、高い喘ぎが時折聞えてくる。よかった、バレてない。イルカ先生は同僚にばれるのが恐ろしいと、震えていた。そりゃそうだろうとオレも思うが、だからといって止められそうにないのだ。

「止めていいんですか・・・?ココ、このまんま外に出るの?」

「っつ・・・!」

イルカ先生自身は、隠すことが出来ないまでに成長している。このまま職場に戻れば間違いなく異変を感じ取られるだろう。多分彼はトイレなどで自己処理をしたって、余韻を引き摺らず仕事に戻れるほど器用ではない。

「声を抑えられないなら・・・。」

オレはごくりと喉を鳴らした。それならばと思い立った提案は、オレの趣味丸出しでもしかしたら恐がられるのではないかと心配になる。でもそんなイルカ先生を見てみたいし、してみたい。ドキドキドキと胸を高鳴らせて、オレは口を開いた。

「イルカ先生の額宛を・・・猿轡しちゃいましょうか。」

言われたイルカ先生は思ったとおり、ぎょっとしていた。オレはそんなイルカ先生に猿轡をしているところを想像し、すでに興奮していた。

アカデミーの資料室で後ろ手で縛られて、猿轡をかまされるイルカ先生。

下半身は丸出しで、中心は唾液と精液でべとべとのぐちょぐちょ。

立っているのが必死な脚は細かく震えている。

――見たい。

早くそんな彼を嬲りたい。

オレは興奮のあまり舌嘗めずりをしてしまう。

「ねぇ・・・先生。そうしたら声を抑えられますよ?」

馬鹿な提案をしていると自覚しているけれど、言わずにはいられない。オレはじっとイルカ先生の返事を待った。イルカ先生は何度か口を開閉し、視線を彷徨わせ、涙をためて本当に小さな声で返事をした。

「お、おねがい・・・します。さっ・猿轡・・・してください・・・。」

イルカ先生からぼろりと零れた涙が、彼を見上げているオレの頬に零れ落ちた。

その瞬間。

もう一度頭の中でぶっちんと何かが切れた音がした。

知らなかったー・・・理性の鎖って二本あったんだ。







すみません!
また続いちゃったよ〜!!(汗)
本当は一話完結だったんです。
でも、でも・・・!!またエッチがしつこくなってしまいました!
未だにイルカ先生一回もイってねぇよ!(笑)
もうちょっとお付き合いください。
きまぐれやさん、こんなのですが貰ってやってください。
そして、後編を待ってやってください〜〜!(;;)




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