人付き合いは、実は苦手。付き合いが悪いと言われても、気取っていると勘違いされても、構わないし気にしない。だって意味の無い会話をする方が苦痛じゃない?本当に付き合いたい相手がいるなら自分から近付くからさ。 ・・・待ってて。 今行くから。 出逢いは合コン。相手は男。いいじゃない? まさに運命の相手って感じ! |
はたけカカシは困っていた。 時刻は夜の9時。待ち合わせは7時30分だったはずだ。待ち合わせ場所にはとっくに友人たちはいなかった。既に移動したのだろう。 このまま帰ろうか。 カカシは待ち合わせ場所である喫茶店の前で、ぼんやり考えていた。人付き合いがすこぶる悪いが、外見だけは超一流のカカシは、今夜大学の友人たちに合コンへ誘われていた。いつもだったらきっぱり断っているのだが、友人達(といっても、やはりそこまで深い付き合いはしていないが。)に土下座までされてしまっては無下に断れなかったのだ。どうやら今回の合コン相手の女達は、かなりの上玉らしい。だから是が非でもカカシをメンバーに入れたかったのだろう。 女に不自由はしていない。 とハッキリ言ってやろうかとも思ったのだが、そんなこと言ってしまったら最後。どんな噂が大学内で流されるか分かったものじゃない。適当に途中で帰ってよいという条件でカカシは合コンに参加したのだった。 しかし、当然のごとく乗り気でなかった誘いだから、待ち合わせに遅れてしまった。教えられていないから合コンの行われている場所すら行き着けない。やはりここは帰るべきだろう。とカカシが思っていた矢先に、ジーンズの尻ポケットに入れていた携帯が震えだした。 電源切っておくべきだった・・・。 イヤイヤながらカカシは携帯の通話ボタンを押した。ここで出なければ、今後厭味を言われ続ける。 「・・・ハイ。」 『カカシ!遅いぞお前!場所教えるからすぐ来い!人数足りないんだから!』 「・・・はいはーい。」 場所を告げるだけ告げて、通話は終わってしまった。電話越しに聞こえてくる騒音からして、場所がカラオケBOXだとは分かった。甲高い声が聞えてきたが、あれは相手の女だったのだと思う。カカシは深い溜息を付いた後、足取り重く、告げられた<騒音箱>へと足を運んだのだった。
「どうだよ、カカシ!なかなかいい娘揃ってンだろ〜?」 「あぁ・・・。」 酒臭い息を耳元で吐きながら、友人はご機嫌でカカシに囁く。今までどんな良い女がいると誘っても、合コンなどに参加してくれなかったカカシが、参加してくれたのだからそれだけでも気分が良い。しかも一番乗り気ではなかったカカシが、どうやら目当ての女を見つけたらしい。友人は、何だか誇らしい気分にさえなってきた。 「どの女だよ。上手くいくように仕向けてやるから教えろよ!」 「・・・右から二番目・・・うわ。すげぇ可愛い・・・。」 「え?」 ぼそりと呟かれたカカシの返事を友人は理解できなかった。友人は言われた事をもう一度復唱してから、向かいの席へと目を向けた。 右から二番目・・・。 「・・・。そういや。紹介してなかったな。ウエキがさ、急に来れなくなったから、イイダに友達連れてきてもらったんだよ。イッこ下なんだけど、イルカって言うー・・・」 「イルカさんって言うんだ・・・可愛い・・・。」 「・・・。」 うっとりと呟くカカシを見て、友人はもう一度向かいの席を見た。右から二番目。どう見ても、右から二番目にはうみのイルカという人物が席を陣取っている。・・・どっからどう見ても男なのだ。 「なんていうか、とにかく服をひん剥いて体中嘗め尽くしてぇ。あの人の身体中にオレの精液ぶっ掛けて、マーキングしてやりてぇよ。」 「カッ・カカシ!?」 「あーもう。隣の女、邪魔くさいねぇ。っていうかどっか行け。」 カカシの目は完全にどこか遠くへ行っているようだ。友人はあまりにも直接的なカカシの物言いに唖然としてしまった。そんな友人をもちろん無視して、カカシは楽しそうに隣にいる女の子と話しているイルカに、飛び掛らん勢いで近付いていった。 「ねぇ、イルカさん。」 「は?な・何だアンタ!っておい!!」 「そんな女なんかどうでもいいじゃない。もう帰ろーね。」 「ちょ・ちょっと!?」 ぐいっとイルカの手首を掴み上げて立たせたと思ったら、カカシはそのままイルカを担ぎ上げてしまった。回りは突然の出来事に呆然としている。イルカも驚きの余りろくに抵抗も出来ないようだ。 「じゃ、オレら抜けるから。お疲れ。」 その言葉を投げかけて、カカシと担がれたイルカは合コン会場であったカラオケBOXから去っていった。
「ちょっと!降ろしてください!!恥ずかしいでしょうが!?」 「逃げない?オレかなり錯乱してる自覚あるから、逃げたら何するか分からなーいよ。」 今正に冬本番だけれど、このご時世だ。頭のおかしな輩が出てきてもおかしくない。イルカはその言葉にぞっとしながら、ここは大人しく言う事を聞こうと決心した。 「わかりましたから!逃げないから降ろしてくれ!」 「・・・うん。」 満足そうにカカシは微笑んでイルカを歩道へと降ろした。それでも周囲の視線は二人に釘付けだ。イルカは慌ててカカシの手を取って走り出した。とにかく人気の居ないところへと脇目も振らずに走る。カカシは繋がれた手をじっと見詰めながら、やはり微笑を絶やす事は無かった。 「こ・ここならまだマシだろ・・・。」 息を切らしながらイルカとカカシが到着した場所は、人気もまばらになった公園だった。遊具を照らす外灯以外は光が無いので、昼間は明るい雰囲気を醸し出している場所も、かなり不気味な感じだった。 「イルカさん・・・。」 「あなたいったい何なんですか・・・。オレに何か恨みでも?」 自分と違って息一つ乱していないカカシに、イルカはがっくりと項垂れてしまった。もうその場に座り込んでしまいそうなくらい疲労している。 「オレははたけカカシ。あなたより一つ年上だけど・・・いいよね?そんなの気にしませんよね?」 「〜〜〜!?だから何なんですか!?」 一方的に自己紹介と要望を伝えるカカシに、イルカはとうとう堪忍袋の緒が切れてしまった。殴りかかろうとするイルカをカカシは簡単に押さえ込んでしまい、ついでとばかりに抱きこんでしまった。 「・・・!!」 「一目惚れっての?しちゃったみたい。ダメ。たまんねぇ。」 うっとりとイルカを抱き締めながらカカシは呟く。堪らないのはイルカの方だ。何が悲しくて合コンの後で男に告白されなければならないのか。 「オレは男だ!アンタ、オレが女にでも見えるのかよ!それとも・・・ホモ!?」 「ホモじゃないよ。性別なんて、そんな事どうでもいいくらいアンタにメロメロみたい。もっと触っていい?」 「・・・ ・・・。」 イルカはもう唖然とするしかなかった。はたけカカシというこの人物がカラオケに入ってきてから、十分も立たないうちに連れ去られて、告白されて、おまけに身体を触られているのだ。何ていう思い込みの激しい・・・というか猪突猛進な性格。 「あなた・・・勢いだけで人生渡っていってるでしょう?」 「まさか。どっちかっていうと石橋を叩いてーって。そんな事どうでもいいじゃない。オレん家行きません?」 くんくんと、イルカの髪の香りを吸い込みながらカカシは言う。その態度が犬みたいだと思いながら、イルカはゆっくりとカカシの顔を覗き込んでみた。 整った顔立ちは実はひっそりと面食いのイルカにとって、かなり好みの顔立ちだった。じっと見詰めてくる瞳はキツイ位の強い視線。何もかも射抜くような強さが、自分を縛り付けるような錯覚さえもたらす。イルカは感じてしまった。ゾクリとその視線に快感を感じてしまった自分を。 同じようにカカシも改めてイルカを見詰めていた。自分より少し小さな身体は、全身から自尊心を放っている。「漢」のいい部分も悪い部分も隠す事無い彼は、自分の興味を一心に惹きつける。彼を自分のものにしたいという欲求が全身を渦巻いている。こんな感情は初めてで、カカシ自身戸惑うくらいなのだ。 「・・・オレは男に興味ありませんよ。」 「今から出るかもしれないじゃない。オレの事・・・知りたくない?」 キツイ視線をさらに絞りながら見詰められて、イルカは身体を強張らせてしまった。この視線が自分のモノになるのかと思うと、自分では知らなかった支配欲が湧き上がってくる。 「・・・そうですね。知りたいかもしれない。」 「・・・でしょ?オレにも・・・イルカさんのこと教えて?」 ぺろりとカカシは自身の上唇を嘗めながら、そっとイルカに囁いた。そうして徐々に唇はイルカのそれへと傾いていく。イルカは軽く溜息を付きながら、これも運命かとカカシの口付けを受け入れた。
「カカシさん・・・猪突猛進なとこ直してくださいね。」 「へ?オレそんなことなーいよ。」 「自覚無いんですか・・・。最悪だ。」
お粗末様でした。m(_)m |
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